蔵本−川越酒造場 麹−米麹・白麹  度数25度 
原料−黄金千貫 購入価格−\2,880  購入年月 H.21.11

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金の露はプレミア焼酎で有名な「川越」を造る「川越酒造場」さんの醸す1本である。「川越」は米焼酎と芋焼酎との混合だが、「金の露」は全量、芋焼酎である。
 私の地域では以前は、とんとこの「金の露」を見ることができなかったが、今では普通に店頭に並んでいて、とても購入しやすくなった。東京周辺でも同じような状況なのだろうか。 聞くところによると、「川後」より「金の露」の方が生産量が少ないのだそうだ。

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 この「金の露」を購入した酒屋さんいわく7年ぶりに入荷したそうである。ただし、店頭に並ぶのは25度の「金の露」である。川越酒造さんの地元、宮崎では20度の「金の露」もあるとか。20度も飲んでみたいものだ。

 いつものように好きなロックで頂く。口に含むと、芋の自然な甘さが広がる。アルコールの刺激を感じず、とてもまろやかである。口に踏んだ香りも、とても穏やかで優しい芋の香りがする。香り、味わい、口当たりといいとても飲みやすい。飲みやすさのあまりぐいぐいとのんでしまう。ぐいぐいと飲みたいときにはもってこいの1本である。今回、お湯割りでは、試すことがなかったのが残念である。

蔵本−中村酒造場 麹−米麹・白麹  度数25度 
原料−黄金千貫 購入価格−\3,000  購入年月 H.20.3

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 宝石のように美しく透き通った青色の瓶が目に映える。何か特別な存在であるかのようだ。その名は「玉露 甕仙人 ブルーボトル」である。蔵本は中村酒造場である。中村さんには「玉露 甕仙人」があるがこのブルーボトルとどこが違うのだろうか。 どちらの甕仙人も原料のサツマイモに黄金千貫、白麹仕立てでモロ蓋による麹造りで手作り焼酎である。

違いは原料の「黄金千貫」へのこだわりである。それは、ブルーボトルに使われている黄金千貫は純堆肥栽培で育てていることである。昨今、食の安全がことさら注目されているが、農薬や化学肥料を使わず育てた芋であるならば、安心安全であることは間違えない。さらに堆肥栽培が焼酎の味わいにどのような効果をもたらすのか開栓が楽しみである。
 このブルーボトルは「甕仙人」や「玉露」などの中村さんの取り扱いのある店の中でも、限られた酒屋さんのみに出荷されている。しかも、年に1回、3月から5月にかけての期間限定の販売なので、入手は容易でない。今年2009年より、取扱店が増えいくぶん入手しやすくなった。
 ロックで味わってみる。香りをかぐと芋いもした香りではなく、ハープのような花の香りを想起するような香りである。この香りは、個性的であり、この焼酎の特質ともいえる。口に含むとアルコールの刺激感を全く感じさせず、とてもまろやかな口あたりである。やはり、甕での熟成の効果であろう。ゆっくりと口の中で転がすとほんのりとしてやさしい芋の甘さが広がってくる。やや、甘口である。口当たりよく、さらっとした感触で、どちらかというと、軽やかな味わいである。個人的には好みの1本であり、毎年春の販売開始を楽しみにしている。

蔵本−祁答院蒸留所 麹−米麹・黒麹  度数25度 
購入価格−\2,780  購入年月 H.20.9

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 この「木槽 青潮」以前紹介した「木々の目覚め」を造る祁答院蒸留が醸す1本である。「木々の目覚め」は白麹仕立てで「木槽 青潮」は黒麹仕立てである。
 この焼酎の特徴は、「木々の目覚め」と同じく麹をもろぶたを使って蔵人が手を使って育て、更にタンクや甕でなく木槽を使って醸成させていることである。また、この焼酎は平成20年度鹿児島県鑑評会総裁賞受賞している。
 いつものようにロックでいただいた。やわらかで、丸みのあるな口当たりである。黒麹のもつ香ばしさと芋の穏やかさ甘さそして、木槽による木の香りがうまく調和している。なるほど、手造りで丁寧に造られていることがうかがえ、資質の良さを感じる。
 同じく木槽仕込みの「木々の目覚め」と比べたら個人的には、白麹が好みなので「木々の目覚め」の方が好みである。 ちなみに「木々の目覚め」についてはこちらから。
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蔵本−高良酒造有限会社 麹−米麹・白麹  度数35度 
購入価格−\2,700  購入年月 H.20.12

 高良酒造さんのレギュラー焼酎「八幡」は多くのファンがいて、いつも品薄である。取り扱いのある酒屋さんでは、飲み屋さん用に確保され、店頭に出る個数は限られているようだ。そんな人気のある「八幡」の無濾過が「はちまん ろかせず」だ。
 「八幡」でさえも数量が限られているが、「ろかせず」は「八幡」の取り扱店の中でも限られた店にしか扱いがなく、数も非常に少ない。私はたまさか幸運に恵まれて数本購入することができたが、いつまた購入できるかは分からない。
「ろかせず」は年に1回の限定販売で2月から3月にかけて販売されている。この時期に、足繁く酒屋さんにかようと、運良く「ろかせず」に出会うかもしれない。焼酎ブームが衰退した現在にあっても、数の少なさから、ネット上でも高値で取引されているようだ。三大プレミア焼酎の「森伊蔵」「村尾」「魔王」の「村尾」と変わらない値がついている。

 「八幡」の無濾過というと、およそどんな味わいか想像できる。「八幡」はどっしりとした味わいで芋の甘さと香りを存分に楽しめる1本で、その無濾過なので、一層期待が膨らむ。
 期待を込めて封を切る。ぷうんと芋の香りが立ってくる。クラッシュアイスをグラスいっぱいに入れ、「ろかせず」を注ぎ、ゆっくりと口には運ぶ。「ろかせず」は35度だが、その度数を全く感じさせないまろやかさだ。やはり、甕仕込みの恩恵であろうか。舌の上で転がすと、何ともいえない芋の甘さが口いっぱいに押し寄せてくる。キャラメルに似た風味が鼻から抜け、喉を通したあとにも余韻が残る。流石に無濾過なのでとても濃厚で骨太な味わいだ。もう芋焼酎はこれで決まりとさえ思わせる。氷がとけてきても、濃厚な味わいは変わらず、一層飲みやすくなる。調子にのって飲んでいると、胸のあたりがあつくなり、35度を認識させられる。
 これは、虜にさせられる。丹精を込めた造りの手の顔が見えてくるようだ。
 重厚で骨太、存在感のある焼酎を楽しみたい方には一押しの焼酎だが、入手が非常に困難なのが惜しまれる。

蔵本−松露酒造株式会社 麹−米麹・白麹  度数25度 
購入価格−\2,350  購入年月 H.20.11

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 松露酒造さんは、宮崎県串間市寺里に所在する。地図で確認すると宮崎県の南部で鹿児島県との県境にある。地図で所在地を確認するのにはこちらを参照。
 創業は姥ヶ迫焼酎株式会社として昭和3年に設立し、その後昭和46年に松露酒造株式会社に名称を変更しているそうである。創業から70年を経る歴史ある蔵である。
 松露酒造さんの代表銘柄は、安くておいしいと定評のある「松露」である。そんな松露を造るタンクの中で、その年に造られた一番できのいい松露が104号タンクだったそうで、年度が代わっても、一番できの良いタンクの松露を「松露104号」と呼んでいるそうだ。当然、製造本数も少なく、松露を取り扱う酒屋さんの中でも限られた酒屋さんにしか出荷されない特別限定である。
 「松露104号」はイチレイヨンと呼ぶのかイチマルヨンなのかヒャクヨンなのかよく分からない。購入した酒屋の主人に今度、尋ねてみたい。
 松露のラベルは他に類を見ない。裏ラベルのようなものに荷札のようなものが瓶の口にくくりつけられている。この荷札には芋選者、杜氏、ろ過者の氏名が大きく記載されており、蔵本が責任と自信をもって世に送り出していることが伺える。
 頂き物の「松露104号」初めて口にしたときには、芋の甘さとこく、上品な舌触りに感嘆した。あっという間に一升瓶を開けてしまった。それから、再度の購入である。
 私はロックが好きだが、この「松露104号」ロックで最高である。正確にはロックでしか飲んでいないので、他の飲み方での評価は知らない。それほど、ロックでおいしく、杯を数度となく傾ける1本だ。
 香りは、芋の甘さがふぁっと広がり、柔らかな口当たりである。アルコールの刺激感はやや感じることもあるが、なめらかな口あたりである。上質で洗練された感じである。濾過を弱くしているのためか芋の本来の香りやこくを楽しめうまく調和している。安くて、旨いお勧めの1本である。

蔵本−神酒造株式会社 麹−米麹  度数25度 
原料−黄金千貫 購入価格−\980  容量−900ml
購入年月 H.21.2

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 「千鶴」を醸す神酒酒造株式会社は、鹿児島県北西部の出水市高尾野にある。創業は明治5年(1872)というから百年を越す伝統ある蔵である。出水と言えば数多くの鶴が飛来するところとして有名で、「千鶴」という銘柄名も多数の鶴の飛来から付けられた銘柄名であるそうだ。この「千鶴」は神酒造さんの代表銘柄で、2003年の全日本国際酒類振興会が主催する「選び抜かれた名品の時代」というコンクールの芋焼酎部門で栄えある第一位を受賞している。

 この焼酎を購入したのもコンクールで第1位を獲得した焼酎ということに興味をもったからだ。5合瓶で900円、一升で1800円程度でとても安い。こうでなければ日常的に気楽に飲めない。今回5号瓶で購入したが、神酒造株式会社さんのホームページで調べてみると、360mlミニボトルや180ml紙パックがある。ミニボトルを購入したいが私が住む福岡では販売されていないとのことで、残念だ。
 さて、いつものようにロックで味わってみた。グラスに注いですぐに口に含んでも、アルコールのつんとくる感じを覚えず、よく熟成している。ころころと舌の上で転がすように味わうと、芋の香りが広がってくる。なかなか芋の自然な香りとこくを感じて、骨太な味わいである。軟弱な味わいでもフルーティな味わいでもなく、芋の存在感を感じさせ、柔らかな甘さを感じることができる。このこくや甘さは、厳選された黄金千貫を使っているためなのだろうか。
 これはいい。とてもレギュラーとは思えない1本だ。芋の自然な味わいを楽しみたい方にお勧めの1本だ、安いし、旨い。「千鶴」360mlのミニボトルを手に入れて、知人、友人に配って勧めてみたい。
ラベル画像なし
蔵本−西酒造株式会社 麹−米麹  度数25度 常圧蒸留
原料−黄金千貫 購入価格−\2,980  購入年月 H.21.2

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 「白天宝山」は西酒造さんの宝山シリーズの中の1つである。黄麹の「富乃宝山」、黒麹の「吉兆宝山」そして、今回紹介している「白天宝山」は白麹仕込みである。原料芋は契約農家が無農薬と有機肥料で育てた良質の黄金千貫を用い、かめ壷で仕込まれ、常圧蒸留されている。
 平成20年以前は、ほとんどこの「白天宝山」を酒屋さんで見ることができなっかた。しかも、5月、6月頃の限定販売であった。しかし、あの事故米事件後、「白天宝山」が5月、6月に限らず普通に酒屋さんの棚にずらっと並び、制限なしに購入できる状況である。こんなに状況が変わるものかと驚いている。
 今回紹介する「白天宝山」は平成20年度産で、現在ではラベル黒文字が金色に変更になっている。
 さて、「富乃宝山」はフルーティな香りがして、ロックでとてもおいしい焼酎であったが「白天宝山」はどうであろうか。
 好きなロックでいただいた。口に含むと、白麹の持つ柔らかで華やいだ香りが広がってくる。芋の香りと「やまねこ」のようなさわやかな香りを併せもったような香りである。甘さは、ほのかな甘みを感じるが、やや辛口のようだ。しかし、よく熟成しているので口当たりも良くアルコールの刺激感がなく、とても飲みやすい。これは、いい。香りも口当たりもよくおいしい。数多く一升瓶を開栓している中、早いペースでなくなってしまった。お勧めできる1本だ。

蔵本−大石酒造株式会社 麹−米麹・白麹  度数25度 
常圧蒸留 原料−白豊  容量 1800ml
購入価格−\2,100   購入年月 H.21.11.14

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  「鶴見」を醸す大石酒造さんは 明治三十二年(1899年)の創業で伝統ある蔵である。この鶴見は創業以来の銘柄で白麹仕込みの「鶴見」と黒麹仕込みの「莫祢氏」同様に代表銘柄である。100年以上の長きにわって飲み継がれてきたということは、それだけの資質の高さと根強愛好者がいることが想像できる。

 レギュラー焼酎である「鶴見」は求めやすい値段である。私は2,000円を上回る値段で購入したが、2,000円以下でも購入でき、不景気な昨今、とてもありがたい1本である。
 ロックで飲んでみた。口に含んでもアルコールの刺激感を感じさ競ることなく、なめらかな口当たりである。白麹仕込みの柔らかで優しい香りが広がってくきて、その後に、芋の柔らかな甘みを感じる。この「鶴見」どちらかと言えば、辛口よりで、ほのかな芋の甘さが楽しめる。レギュラー焼酎にもかかわらず、口当たりの良さや芋焼酎本来のコクや香りを存分に楽しめる、資質の高い焼酎である。安くて、入手もしやすい。多くの方にお勧めしたい焼酎である。
蔵本−松崎酒造合名会社 麹−米麹・黒麹  度数25度 
常圧蒸留 原料−黄金千貫 容量 900ml
購入価格−\1,050    購入年月 H.21.2.21

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 「大黒」を醸す松崎酒造合名会社さんは、明治42年に市来地区で初めて芋焼酎を造った蔵であるそうだ。明治42年とは西暦1909年で100年ほどの伝統を持っている。また、この蔵はこの「大黒」一銘柄だけを造り続けているそうで、「大黒」に対する思い入れやこだわりのあることを想像できる。
私はiェ在住だが、この「大黒」は取り扱い店に行けば店頭に並んでいるのだが、残念ながらを取り扱っている酒屋はすくない。 
 さて、ロックで味わった。口に含むと初めにセメダイン臭を感じる。そして、その後に芋の甘みとキャラメルのような甘く洋菓子のような香りが口に広がってきた。キャラメルの香りは好感がもてるのだが、セメダイン臭はどうもなじめない。そこで、しばらく寝かせることにした。
 開栓して、1年と半年ほどして、思い出したように味わってみた。開栓当初のセメダイン臭はほとんど無くなり、ずいぶんと飲みやすくなった。おもしろいのは、黄金千貫を使った芋焼酎にも関わらず、芋の風味を感じない。どちらかというと、いいちこのような麦のさわやかで華やいだ香りがする。黙って飲んだら芋焼酎とは思わないだろう。数ある芋焼酎の中でこの味わいと香りは個性的である。
 私はこの「大黒」新酒よりも、1年ほど寝かせて味わうことを勧める。
蔵本−吉永酒造株式会社 麹−米麹・白麹  度数25度 
常圧蒸留 原料−黄金千貫 容量 1800ml
購入価格−\2,700    購入年月 H.22.4.3

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「五郎」を造る吉永酒造さんは、鹿児島県薩摩川内市下甑町手打に蔵を構えている。 詳しくは、同じ蔵がつくる「甑州」「亀五郎」を参照してほしい。
 
 「五郎」は甑島で造られる「黄金千貫」を使って、白麹で一次・二次とも甕壺で仕込まれ、仕込み水・割り水には下甑島で採取された「こしき海洋深層水」を使っていることが最大の特徴である。 
  開栓して、香りを嗅ぐとバナナのような香りを想起する。この香りに一層期待が膨らんでくる。ロックで飲んでみた。レギュラーとは思えない口当たりで、アルコールのとげとげしさや舌にヒリヒリする感じを全く感じさせないまろやかさである。舌の上でゆっくり転がしながら喉を通していくと、さらっとした舌触りと、とてもいい果実のような香りが広がって来る。さらっとしたした感じと果実のような香りの相乗効果で清涼感を感じさる。さらっとした感じは「こしき海洋深層水」の効果なのだろうか。
 レギュラー焼酎としはやや高めの価格だが、私的には味わいに納得の価格であり、お勧めの1本である。