蔵本−古澤醸造合名会社 麹−米麹・白麹  
原料−ジョイホワイト購入価格−\1,150  購入年月 H.20.4

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「ひとり歩き」を造る古澤酒造さんは、宮崎県日南市にある。代表銘柄は八重櫻・一壷春などがあり、他にも本サイトでも紹介している「摩無志」も造っている。
 さて、この「ひとり歩き」ネットでは評判であるので、一度は飲んでみたいと前々から思っていたが、私が住む福岡では取り扱いのある酒屋さんが少なく、入手が結構困難である。やっとのことで4合瓶を手ににすることができた。この「ひとり歩き」の特徴は、原料にジョイホワイトを使っていることや1次2次仕込みとも、甕仕込みであることである。

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ジョイホワイトを使っているものには「山ねこ」や「がんこ焼酎屋」等を思い浮かべる。「山ねこ」は、特有のマスカットのような香りがして好みの1本であった。
 さて、どんな味わいなのか。いつものようにロックで味わった。そっと口に注ぐと、甘くほんのりとした芋の香りが広がってくる。そして、ゆっくりのどをとおしていくと、果実を想起するような香りを覚える。なるほど、同じジョイホワイトを使う「山ねこ」のような香りがする。
「山ねこ」では芋のほんのりした甘さと香りを「ひとり歩き」ほど感じない。
 「ひとり歩き」は芋本来のこくと甘さとジョイホワイトから出る果実のような香りを程よく調和させたものである。また、アルコールの刺激感もなく、ほどよい甘さがありとても口当たりがよく飲みやすい。これまた、お気に入りの1本となった。次回は一升瓶で購入できたらよいのだが。
蔵本−白石酒造 麹−米麹(古代米緑米)・黒麹  
原料−黄金千貫 購入価格−\3,150  購入年月 H.20.1

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 「田伝夢詩」は白石酒造さんが造る、こだわりの1本であり、全国に3軒しか取り扱いのある酒屋がない。とても、稀少な1本である。幸い、我が家から、ちょっと車を走らせると、取り扱いのある酒屋さんがあり、購入できた。
 「田伝夢詩」の特徴は、第1に麹米に古代米の緑米を使用しているところにある。この古代米の「緑米」は玄米(籾殻を取り除いたもの)にすると、緑色をしているところから緑米といわれているのであろう。
古代米は、イネの原種である野生稲の特徴である、生命力が強く荒地でも育つ、玄米の色が有色、背丈が高いこと等を受け継いでいる米のことで、他には赤米(うるち米)や黒米(もち米)等があるそうである。また、古代米は収穫量が現代の品種改良したものと比べると半分以下だそうだ。それだけに、経費も、かかるだろう。
 第2の特徴は、手づくりでの一連の焼酎造りの行程にある。緑米を木樽の蒸し器で蒸し上げ、蓋麹での手作りの麹、次に1次、2次ともに甕仕込み、そして木樽蒸留、最後に甕壷での熟成である。このように、手間と時間を惜しみなくかけて醸し出された1品である。
 さて、味わいはどんなものなのか。いつものようにロックでいただく。氷一杯のグラスに「田伝夢詩」を注ぎ、ゆっくりと口に含む。ふぁと芋の香りが広がりゆっくりのどをとおすと、やわらかな甘さと懐かしい香りというべきか、芋のジュースを飲んでいるかのようである。舌の上をころころと転がしてもアルコールのぴりぴりした感じやすーとする感じを覚えることがなく、とても滑らかで、甕の中で熟成され角がとれているようである。どちらかというと、重厚な感じ、衝撃的とまでは行かないが、こくが深く味が濃い1本である。 軽く、フルーティな焼酎が人気の中にあっては、一線を引くものである。
手作り焼酎の良さである、こく、香り、芋の自然な甘みを存分に楽しめる1本だ。
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蔵本−老松酒造株式会社 麹−米麹 
原料−黄金千貫 購入価格−\2,500  購入年月 H.20.2

 「薩摩嵐」は「老松酒造」さんが造るこだわりの1本である。 これまでわずか年間240本限定出荷であったが、新しい蔵を造り出荷量も増やすことができるそうだ。私が住む福岡でも取り扱いの酒屋さんが少なく、私が知る限り3軒ほどである。
この薩摩嵐は3年間の長蔵を経て、出荷されているそうである。多くの焼酎が半年や一年間の熟成で出荷されているのだが、三年間の熟成を費やすということは、蔵本の強いこだわりを感じる。
 封を切って香りを嗅ぐと甘い菓子のような香りがする。氷を入れグラスに注いですぐに口に入れても、アルコールの刺激感を感じない。ゆっくり舌の上を転がしのどをとおしていくと、滑らかで芋のほんのりとした甘さが広がってくる。上質で絹ごしのような舌触りである。
全体的な印象として、やさしく上質でやわらかな印象である。すいすいと喉を通り、ほのかな芋の甘さとさらっとした感じである。多くの方に受け入れられる1本であろう。
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蔵本−株式会社篠崎 麹−米麹 アルコール度数 36度
原料−赤芋  購入価格−    購入年月 H.20.7

 この焼酎は、福岡県の酒屋さんのプライベートブランドでほとんどの方は目にすることはないだろう。製造元は福岡県朝倉市にある老舗蔵である「株式会社篠崎」さんである。裏ラベルには『「亜士亜の眠り」は、熊本県菊池の食用として、最高の赤芋を北薩摩阿久根の地で長年の経験を生かした杜氏が造り上げ、その原酒を貯蔵技術豊かな三連水車の里、朝倉の(株)篠崎がじっくり時間をかけ熟成貯蔵した芋焼酎です。…(略)』とある。
 36度の原酒なのでクラッシュアイスをグラスにたくさん入れ、ロックでいただいた。グラスに注ぐと、ほんのりと琥珀色をしているが、ウイスキーのように濃い色合いではない。なんと言っても、この焼酎の特徴は、樫樽貯蔵による、ウイスキーのような香りがすることである。しかし、ウイスキーのように舌にひりひりとさすような感じはなくとてもまろやかである。ゆっくりと舌の上を転がすと、ほのかな甘みと樫樽による香りと芋の香りが調和してウイスキーのような香りにバニラのような香りが混じっているようだ。香りが口いっぱいに広がり、鼻から抜けていく。旨い。この甘みは熊本産の赤芋からくるものだろうか。うっとりするような甘みと香りである。38度という度数の高さを感じず、知らず知らずのうちに杯を重ねてしまう危険な焼酎だ。今度、この酒屋さんを訪れたら、再度、買おうかと悩みそうた。
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蔵本−祁答院蒸留所 麹−米麹・白麹  
原料−サツマイモ  購入価格−\2,800  購入年月 H.20.6

 初めてお目にかかる焼酎であった。時々行く酒屋の大将の勧めで購入した。この焼酎は新しく建てられた蔵である「祁答院蒸留所」(けどういんじょうりゅうしょ)で造り出されたもので、平成20年3月に初めて販売された新銘柄の芋焼酎である。何よりこの焼酎の特徴は、仕込みを甕やホーロータンクでするのでなく、杉材でつくられた木槽を使っていることである。鹿児島県でも木槽を使って、焼酎造りをしているのはこの蔵だけである。二つ目の特徴はもろ蓋を使った手作りの麹を使っていること。そんな、こだわりをもった「木々の目覚め」は、木槽仕込により、もろみの発酵が穏やかに終息し、丸みのある、甘く心地の良い余韻の楽しめる焼酎に仕上がっているそうである。
この「木々の目覚め」の詳細は「祁答院蒸留所」のホームページ
http://www.imoshochu.com/imuta/shohin/kiginomezame.html を参照してほしい。
 
 開栓して、香りをかいでみるとやさしく甘いお菓子を連想する香りがする。少しばかりストレートで味見をしてみた。初めにアルコールのわずかに刺激感を感じ舌の上がすっとする、次に、特有のと言っていいのだろうか、わずかに木の香りが広がり、余韻が続く。
 次に、ロックでいただいた。ロックだとアルコールの刺激感が消え、ずいぶんと飲みやすい。ほのかな芋の甘さと木槽仕込みによる木の香りが鼻から抜けてきて、ゆっくりと消えていく。芋の甘さと香りが程よく調和をして、落ち着きしっとりとした印象である。クイクイと杯が進む。人によっては、多少物足りなさを感じる方もいるだろうが、私には、これはこれでおいしく頂けた。その証拠に開栓して間もないうちに1升を飲み上げてしまった。これはまた、再度購入して、寒くなったらお湯割りも試したい1本だ。
蔵本−若潮酒造株式会社 麹−米麹・黒麹  
原料−黄金千貫  販売価格−\2,300  入手年月 H.20.3

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 「千亀女」は若潮酒造株式会社さんのこだわりの1本である。そのこだわりとは、原料芋には黄金千貫を使い、甕壷で仕込み、昔ながらの手造りの木桶蒸留器でゆっくりと蒸留して、甕壷で貯蔵熟成されている。
 「千亀女」は、少量生産の限定商品で、年間一升瓶換算で3万本醸され、全国で150店のみの取り扱いであるそうだ。この焼酎は頂き物であるが、私がよく行く酒屋さんでは良く目にする銘柄である。比較的入手しやすいものであろう。

 そんな「千亀女」は、旨み、コク、ふくよかな香りの三拍子そろった本物の味が楽しめる1本に仕上げっているそうだ。
 いつものように、ロックでいただいた。グラスに「千亀女」を注ぎすぐに口に含んでも、アルコールのぴりぴりした感じがせず、滑らかである。口の中でゆっくりと転がしながらのどをとおしていくと、芋の香りと木の香りを感じてくる。やはり、木樽蒸留の効果であろう。芋の甘みも感じるがやや辛口かという感じである。香りとこくが旨く調和をして、なかなか優れた1本だ。甕壷仕込みで木樽蒸留で造られた「千亀女」がおよそ2,300円程度とは嬉しい価格設定である。味わいと価格からも考えて、お勧めの1本である。
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蔵本−渡邊酒造場 麹−米麹・黒麹  
原料−大地の夢  販売価格−\3,150  入手年月 H.19.12

 「旭萬年無濾過 大地の夢」は宮崎県宮ア市にある渡邊酒造場さんが醸す1本で年に1度だけの限定で販売されている。この「大地の夢」は原料にその名の通りダイチノユメという新種のサツマイモを使っている。
 開栓して瓶の口に鼻をつけ、香りを嗅ぐと焼き芋のような香りが立っている。ロックで味わう。ゆっくりと口に含むと強いこくと香りである。無濾過なのだから、濃厚である。アルコールの刺激感はなく、まろやかであるが、味が濃く自分には少々飲みづらい。氷が溶けてくると飲みやすくなった。
 氷が薄まってきても味が崩れない。甘さがかなり際だっている。コガネセンガンの芋の甘さとはやはり違う。特有の甘さと香りが伴っている。これが「大地の夢」の個性であろう。かなり個性ある1本である。濃厚で甘みの強い焼酎を好む方に勧めたい。自分には多少香りがどうも合わない、また甘さもしっくりこない。自分の好みとは向かうところが多少違っているようだ。
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蔵本−中俣合名会社 麹−米麹(山田錦)・白麹  
原料−黄金千貫  販売価格−\2,840  入手年月 H.20.3

  銘柄となっている「桐野」とは桐野利秋という人物の姓からとられている。この人物は「人斬り半次郎」こと中村半次郎である。人斬り半次郎といえば、あの新撰組の近藤 勇さえ、恐れた険の達人である。この人物、最後は西郷隆盛と死をともにして、波瀾万丈の人生を送ってる。豪傑で薩摩武士の人物像とうまく適合する。
この「桐野」はずいぶんと人気があるようで、入手困難な1本となっているようだ。購入は、日本侍士の会の取り扱いのある酒屋さんで入手できるが、酒屋さんに入荷する本数がきわめて少ないようだ。
   「桐野」は中俣合名会社さんで醸し出されるこだわりの1品である。原料さつま芋には南薩摩産の「黄金千貫」を使い、麹米には酒米に使われる「山田錦」を使用している。甕で仕込まれ、甕で貯蔵されている。
 ロックで味わった。氷が溶けきれないうちに口に運んでも、アルコールの刺激感が全くせずまろやかである。これは、やはり甕仕込み、甕貯蔵の効果であろう。舌の上で転がすと、芋の香りと甘さが広がってくる。白麹仕立てなので、やわらかな味わいである。白麹仕立ての焼酎には、華やいだ香りやフルーティーな味わいのものがあるが、この「桐野」は、芋の存在感を感じる味わいである。八幡や六代目百合ほど強い味わいではないが、なかなか奥深い味わいである。
 氷りなしの水割りでもいただいたが、水で薄めても味が崩れず、伸びがよい。甘さは、適度でほほのかな甘さで好感がもてる。人肌位のお湯割りでも頂いた。芋の甘さと香りが強調されこれも旨い。
 どの飲み方も旨いのだが、個人的に好きなのはロックまたは、氷りなしの水割りだ。とうとうなくなった「桐野」2本目の購入を悩みそうである。
 「栗東」は白石酒造さんが造るこだわりの一品で、数件の酒屋さんでしか販売されないプライベートブランである。そのため、入手は困難である。
 そのこだわりのとは原料のサツマイモに「くりあずま」という品種を使っている。この「くりあずま」は「黄金千貫」の改良種であるそうで、糖度の高さに特徴がある。他にも甕壺仕込みで木桶蒸留で造られていることである。そんな手造り焼酎の「栗東」どんな味わいなのだろうか。開栓が楽しみである。
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蔵本−白石酒造 麹−米麹・黒麹  常圧蒸留・木樽蒸留 
原料−クリアズマ  販売価格−\3,360  入手年月 H.19.10

  二本目の「栗東」が入手できたこともあって、開栓することにした。
 開栓して一升瓶の口に鼻を近づけ香りをかぐ、すると、甘い洋菓子のような香りがする。好きなロックで味わった。口にそっと流しこむ。アルコールの刺激を感じることなく、まろやかな舌触りである。このあたりは甕壺しこみの効果であろうか。ゆっくりと舌の上で転がしのどに流し込むと特有の香りと甘さを感じる。特有というのは栗きんとんをなめているような味わいである。甘口の味わいである。グラスにつぐと折が浮いているので濾過が弱いのだろうか。味わいも濃厚である。この甘さと香りは特徴的である。一度は味わって頂きたい1本であるが、プライベートブランドであり限られた酒屋さんでしか入手することができないことや、高価なことが残念である。
  「がんこ焼酎屋」を造る「大石酒造株式会社」さんは鹿児島県の北西部の阿久根市波留に所在する。創業は明治32年というから、かれこれ110年以上の歴史をもつ蔵である。
「大石酒造」さんの代表銘柄には「鶴見」や「莫祢氏」があるが、未だ未飲である。その他にプライベートブランドとして「五番隊」も醸している蔵である。
さて、「がんこ焼酎屋」は頑固と名を付けているように、原料を地元の物にこだわって使用している。
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蔵本−大石酒造株式会社 麹−米麹・白麹  常圧蒸留 
原料−ジョイホワイト  販売価格−\2,515  入手年月 H.20.8

さつま芋はジョイホワイトを使い麹米はヒノヒカリそして、仕込み水は阿久根市大川の「平出石の水」を使い、1次、2次ともに甕仕込みである。更に、頑固にこだわったのが蒸留器で、明治頃まで使用していた「カブト釜式蒸留器」を再現し使っているのだが、この蒸留器を使ったものは35度の「がんこ焼酎屋」に限られている。私が今回報告しているのは25度の「がんこ焼酎屋」である。
 なんといてっも、特徴的なことは原料にジョイホワイトを使っていることで、このジョイホワイトを使うといわゆる芋くさい香りでなく、爽快でさわやかな香りのする焼酎ができると言われている。
 さて、いつものようにロックで味わった。口に含むとさわやかな香りが広がり、すっきりした印象である。ジョイホワイトといえば「山ねこ」を思い浮かべるが、「山ねこ」に比べると、果実の香りはするが山猫ほど果実の香りは強くない。「山ねこ」はいわゆる芋の風味は感じないが、「がんこ焼酎屋」では、さやかな果実の風味と芋の香りがうまく調和している。口の中で転がして、のどを通していくと、甘さをわずかに感じてくる。やや辛口であろう。のどを通すと昆布のようなこくを感じ、すっと消えていく。
 後日、お湯割りでも試したが、お湯割りにすると、特有のすっきりとした感じと果実のような香りを感じない。私は、この「がんこ焼酎屋」ロックで飲むことを推奨する。